ケアマネのなり手、さらに減少 今年度試験の受験者数が過去最少更新
3月8日に実施された介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数が厚生労働省の公式サイトで公表された。これで今年度の全国の受験者数が判明したことになる。【青木太志】
47都道府県の受験者数は4万918人。過去最少の4万9312人だった昨年度から更に17.0%、8394人少なくなった。
第22回介護支援専門員実務研修受講試験(再試験)・受験者数
ケアマネを目指す人が以前より大幅に減った状況が続いていることは明白だ。ただ今年度は特異な要素が重なったため評価が難しい。来年度以降の動向を引き続き注視する必要がある
ケアマネ試験をめぐっては昨年度、受験者数が急減して業界に衝撃が走った経緯がある。2級ヘルパーなどを除外した受験資格の厳格化も一因だが、「割りに合わない」とみなす人が増加したと指摘する声も少なくない。
ケアマネは求められる役割や研修が多く非常に大変だ。介護報酬の「処遇改善加算」の対象にも含まれておらず、給与面ではベテラン介護福祉士らに追いつかれつつある。
今年度の4万918人は、一昨年度の31.1%にあたる水準。ケアマネ試験の受験者数は、この2年間で一気に68.9%も減ったことになる。
もっとも、今年度の試験は全国で円滑に行われたとは決して言えない。
昨年の10月13日は、極めて深刻な被害を各地にもたらした台風19号と重なってしまい、関東や東北などの1都12県が中止を決断。今月8日の再試験は、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況下での決行となった。こうした混乱を受けて受験を見送った人がいるとみられる。
今年度の受験者数を都道府県ごとにみると、今月に再試験が行われた東京(1512人減)や神奈川(1249人減)、埼玉(974人減)、千葉(731人減)などで特に減少が顕著だった。昨年10月に実施された大阪や兵庫、広島などでは増加に転じており、急な日程変更や新型コロナウイルスの影響がやはり大きかったことが伺える。